「鬼北文楽」を見てきました。

以前、内子町の内子座で行われた「なるほど!ザ 文楽」の様子を
ご紹介しましたが、南予には地元で継承される文楽が4つもある
ということを、その時初めて知りました。 皆さんはご存知でしたか?

朝日文楽(西予市三瓶)俵津文楽(西予市明浜)
大谷文楽(大洲市肱川)鬼北文楽(鬼北町)の4つですが、

今回はそのうち北宇和郡鬼北町に伝わる「鬼北文楽」について
少しご紹介しますね。

(これは平成23年11月23日 きほく芸能祭りでの公演の様子です)
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鬼北文楽というのは、もともと阿波鳴門の「鳴門浄瑠璃」”上村座”から
伝わったものだそうです。
上村座、は江戸初期には三名座の一つに数えられ、徳川将軍家の御前演示
によりお墨付きを賜ったほどの名優座でした。

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400年の歴史を誇るこの一座ですが、明治後期に今の西予市野村・坂石地区で
巡業を行っていた折、経済的事情などにより廃業する運命となり、地元の旧家
三瀬家に人形などを売って解散していまいます。

そのことを知った泉村(現在の鬼北町)の毛利善穂氏が昭和10年に
坂石地区の旧家から人形や衣装などを譲り受け、地方同好者の協力によって
泉文楽一座」を設立したのが、この鬼北文楽の始まりです。

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農閑期や春秋二回のお祭りの時に巡回し、人々を楽しませていたそうです。
太平洋戦争の頃には一時途絶えたものの、戦後の娯楽の無い時代に再び盛んに
演じられ、昭和28年に現在の「鬼北文楽」へ名称を改めます。

昭和34年(1959年)3月には、39体の人形頭・衣装道具一式が”芸術性の高い
作品”として県指定有形民俗文化財の指定を受けました。

現在、鬼北町役場の横にある広見体育センター1階には
人形の頭(かしら)が常時展示されています。

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実は昭和44年に火事があり、人形の頭と衣装の一部が焼けてしまいました。
(その頭も展示されていますよ。リアルに可哀そうすぎるので写真は載せてません)

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その約10年後、鬼北ライオンズクラブを中心に修復に向けた活動が始まりました。
(修復の費用はかなりかかるようです。)

行政の補助なども受け、二度にわたる修復が行われ昭和58年に完了すると、
翌59年には地元の愛好者や青年団が「文楽保存会」結成し、鬼北文楽は
活動を再開します。

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きれいでしょ? 実際に見てもらうと肌や髪の毛の結い方など、ホントに美しいです。

人幕末の名工・人形師の天狗久(てんぐひさ)や人形恒(にんぎょうつね)などの
貴重な資料もありますよ。

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さて、こうなったら何とかその練習風景を見てみたい・・

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・・ということで行って参りました。

ここは『鬼北文楽保存会』さんが毎週1回練習をされている場所。
数年前に廃校になった小学校の校舎を改築したものですが
立派な舞台があって ここで充分上演会ができるようになっています

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人形遣いはこんな風に3人が一緒に操ります。

まず、頭と右手を担当するのが「主遣い(おもづかい)」です。
私も持たせていただきましたが、かなりの重さです!肩に負担が・・
左手に持った頭をしなやかに時には激しく動かしながら、しかも目や口の
動きまでこなすんですから大変です。右手で人形の右手を操ります。

左手を担当するのが「左遣い」。 右手で人形の左手を操り、
左手で小道具を取り出したり、人形の堂を支えたりします。

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「足遣い」は後ろから中腰で人形の足(女性の人形には足が無いことが
多いので、裾の内側を持っていかにも足が動いているように見せます。
音や曲に合わせた「足踏み」もするそうです。

これまで鬼北文楽の再興を支えてこられたベテランのおじいちゃん3名が
見守り、穏やかにかつ熱心に、身振り手振りを添えて指導していました。

表情の変わらない人形がその身振り手振りと頭の動き、目線の置き方で
情感たっぷりに見えるようにするんですから、簡単ではないでしょう。

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何でも「主遣い」と「左手使い」が最近交代したばかりだそうで、
ちょっと連携を間違えると とんでもない動きになるだけに
よくこうしたシーンを見かけました。(みなさん面白い人ばかりです。)

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この日 練習していたのは「伊達娘恋緋鹿子(あてむすめこいひかのこ)
お七火見櫓之段(おしちひのみやぐらのだん)」
でした。

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恋しい人の命を救うため、そして大切なことを伝えるため、自らが火あぶりの刑に
処せられることを覚悟で火の見櫓に登り 禁断の鐘を叩く、悲しく切ない場面です。
(最近、涙腺が緩みやすいもので、こういうお話はほんとに弱いんです・・)

人の姿を隠して、こんな風に操ることもあるんですね。
ちゃんと一人で登って行くように見えましたよ。

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みなさんお忙しい仕事のため、なかなか全員が集まれる日がないんだと
いうお話でした。
それでもこうして集まるのは、地元の伝統芸能を絶やさず伝えていこうと
する「想い」があってのこと。 素敵ですよね。
次を担う、さらに若い方たちが出てくることを願うばかりです。

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鬼北文楽の公演は不定期で なかなかお目にかかれる機会がないのですが
何と今週と来週の日曜はチャンスです!

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12月4日(日)
  鬼北町岩谷の泉小学校で行われる「岩谷遺跡祭」に合わせて、
  泉小学校体育館で13:30から泉小学校の子どもたちによる
  公演
があります。
  (さきほどのおじいちゃんたちが児童に教えているそうです)
  演題は「傾城阿波の鳴門 巡礼歌之段」
  (けいせい あわのなると じゅんれい うたのだん)です。

12月11日(日)
  西予市三瓶町の三瓶文化会館で13:00から「愛媛県文楽合同公演」があり、
  鬼北文楽保存会の皆さんも演じられます。
  この日は、県内の6団体による合同公演で、南予の文楽全て を見ることが
  できますよ。
  (問合せ先)0894-33-2470/三瓶教育課

みなさんもぜひ一度、お越しください♪♪
 

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コメント

感動が甦ります。

大人の文楽はまだ見たことがないのですが、鬼北に職場があるご縁で泉小学校の「こども文楽」は何度か見る機会がありました。
小さな小学生のこども達が一生懸命人形を扱って演じる物語りには、誘われる涙も一層多くなるというものです…
保存会のおじいちゃんおばあちゃんから、伝統文化を継承していってるこども達の姿に感動した時のことを思い出しました♪(ノ∀^。)

とってもいいことですね。

いつもコメントありがとうございます。
泉小学校がある地区は、文楽を受け継ぐ以前から浄瑠璃を楽しむ慣習があったそうですね。
すぐ側に岩谷遺跡も残されていますし、普段から地域の文化や風習に直に触れながら育っていける子ども達は幸せです。
もしかしたら、ありがたいことと気付くのは大きくなってからかもしれませんがv-392
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