八幡浜市立・日土小学校を見に行ってきました
こんにちは。
今回は、日本を代表する木造モダニズム建築物として全国的に知られている
八幡浜市立 日土小学校をご紹介します。(場所はこちら)
この建物(校舎)は、建築家・松村正恒氏により設計されたもので、
昭和31年から33年にかけて建築されました。
松村氏は1913年(大正2年)愛媛県大洲市に生まれ、
東京の武蔵高等工科学校(現・東京都市大学)や土浦亀城建築設計事務所で
欧米のモダニズム建築を学びました。
戦後は故郷愛媛に戻り、八幡浜市職員(建築技師)として勤務した時期も。
この日土小学校や病院関連施設など、多くの優れた公共建築を設計されました。

冒頭にも書いたとおり日本を代表する木造モダニズム建築の傑作である
この日土小学校、1999年にはdocomomoの20選に選ばれました。
※「docomomo(ドコモモ)」とは「近代建築に関する建物・敷地・環境の資料化と
保存のための国際組織」です。
この組織が、1920年~1969年までに建てられ現存している木造モダニズム建築について、
国ごとに20選を決めた際、日本を代表する20選のひとつとして
この日土小学校が選定されたそうです。
国際的にも文化財的な価値を認められた、ということですね。
しかし築後50年を過ぎ、老朽化や耐震設計の観点から
「建て替えやむなし」の再生計画が持ち上がりましたが、
地元の方々の熱意により、この優れた建築物は
耐震補強を経て 安全かつ近代的な「生きた文化的建築物」として
約2年前に生まれ変わりました。
もちろん、現役の校舎ですから、いつでも見学できるわけではありません。
春休み・夏休み・冬休みの 年に3回程度だけ一般公開されています。
*****************************************************************
ただ・・。
建築の知識も無く、モダニズムの意味すら分からない私が行ったところで
果たして良さが判るのだろうか?
という大いなる不安を抱きつつ、
去る3月27日に 初めて見学してきました。
入り口の受付で頂いた 日土小学校に関するパンフレットを持ち、
何でもいいから「とっかかり」は無いかと
必死に読み進めながら校舎に入ったのですが・・
結論から言うと、心配無用、理屈抜きで楽しめました。
何しろ ここは本当に居心地がいいんです。
とりあえず、見たままにご紹介しますネ。
【1階の昇降口と廊下】


子供の寸法に合わせたのでしょう、可愛いいくらいに天井が低いです。
復元された光天井のほかにも、左右両方向から たくさん光が入って とにかく明るい!
【中庭】

実は、廊下のある棟と教室のある棟が中庭をはさんで並んでいて、
1階2階の渡り廊下でつながっています。
そのため、どちらの棟も両方向から採光が取れるので、
とても明るいんですね。

この中庭には、校舎脇にあった池から水路が引かれていて、
かつては魚が泳いでいたよ、と卒業生の方が教えてくれました。
【2階廊下】

明るい廊下には、座って本を読んだり 友達どうしでおしゃべりするのに
ちょうど良い高さのベンチが ずっと続いています。

壁には本棚が備え付けてあります。
いつでも本を手に取れる環境っていいですね。

ベンチの足元にある窓を覗くと、下の階の教室が見えます。
ここを通して光と風が入るんですね。

外観もそうですが、屋内もすべて縦の線、特に長四角のデザインで統一されているようで、
とてもすっきりとした印象があります。

この飾り棚の足のように、下が細くなるようなデザインも多用されていました。
【階段】

幅が広く、驚くほど緩い段差です。見通しがよいので、
出会い頭にごっつんこ!という心配は無いでしょう。
【教室】
![IMG_8940[1]](http://blog-imgs-15.fc2.com/e/h/i/ehimekennanyo/2011061300260112e.jpg)
外の明るさに負けて 暗い写真になってしまいましたが、
両方向の天井際から窓がとってあるので、照明がいらないほど明るい教室です。

内側にある、太く見える柱が建物の荷重を支える構造柱で、
その外側に窓を作ってあります。
そのため、ガラス窓の面には太い柱が要らないので
このように一面がガラス窓に出来るんでしょうね。
天井から床までがすべて出窓、といった感じです。

少しでも採光の妨げにならないよう、
内側の太い柱と、窓枠の細い柱は
教室内部から見ると 必ず重なるように配置されています。
【図書室から2階ベランダへ】

この校舎の最大の見どころは、何と言っても ここでしょうね。
使い勝手の良さそうな六角形の机も、おしゃれなデザインの椅子も、
長い木製ベンチも、子供が本を手にとったらすぐに掛けたくなるだろうと
思うような、柔らかな雰囲気があります。
天井には光の反射を考慮してでしょう、銀紙が貼られています。
そしてこの図書室は、本を持ったままベランダに出ることができるのですが・・

どうですか? この開放感
こんな場所で風や光を感じながら読書ができるなんて、幸せですよね

実はこのベランダ、何と河川に突き出てるんですよ!
建築工事の最中に 河川法違反との理由で差し止めの指示を受けた松村氏は、
こうした場で四季折々の風情を感じて成長することの大切さや、
大人になった時に振り返って誇らしく思えるような故郷の原風景の尊さなど、
教育の場に このような環境が重要であることを強く訴え、
見事押しこんで見せたそうです。

1階のテラスだってこのとおり!明らかに川の上ですね。
昔はここから子供たちが飛び込んで泳いでいたそうですから、
うらやましい限りです。

他にも、こんな宙に張り出した部屋があったり
ウッドデッキがあったり。
とにかく、全体に一環している明るさ(採光の良さ)であったり
風通しの良さであったり、空間の開放感といったものが
自然と一体となったものであることを感じます。
そしてすべてのデザインや設計が 子どものことを考え抜いて
作られているからこその居心地の良さがあります。
しかも、これが50年も前に作られたものなんですから・・
ほんとうに 驚くばかりです。
この空間の気持ち良さは、お越しいただければ絶対に感じていただけるはずです。
ぜひ一度、一般公開の機会にお越しください。
【八幡浜市立 日土小学校】
所在地 愛媛県八幡浜市日土町2-851
見学会 主催;八幡浜市教育委員会
学校教育課施設係
(0894)22-3111(内線8363)
どんぐりでした。
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今回は、日本を代表する木造モダニズム建築物として全国的に知られている
八幡浜市立 日土小学校をご紹介します。(場所はこちら)
この建物(校舎)は、建築家・松村正恒氏により設計されたもので、
昭和31年から33年にかけて建築されました。
松村氏は1913年(大正2年)愛媛県大洲市に生まれ、
東京の武蔵高等工科学校(現・東京都市大学)や土浦亀城建築設計事務所で
欧米のモダニズム建築を学びました。
戦後は故郷愛媛に戻り、八幡浜市職員(建築技師)として勤務した時期も。
この日土小学校や病院関連施設など、多くの優れた公共建築を設計されました。

冒頭にも書いたとおり日本を代表する木造モダニズム建築の傑作である
この日土小学校、1999年にはdocomomoの20選に選ばれました。
※「docomomo(ドコモモ)」とは「近代建築に関する建物・敷地・環境の資料化と
保存のための国際組織」です。
この組織が、1920年~1969年までに建てられ現存している木造モダニズム建築について、
国ごとに20選を決めた際、日本を代表する20選のひとつとして
この日土小学校が選定されたそうです。
国際的にも文化財的な価値を認められた、ということですね。
しかし築後50年を過ぎ、老朽化や耐震設計の観点から
「建て替えやむなし」の再生計画が持ち上がりましたが、
地元の方々の熱意により、この優れた建築物は
耐震補強を経て 安全かつ近代的な「生きた文化的建築物」として
約2年前に生まれ変わりました。
もちろん、現役の校舎ですから、いつでも見学できるわけではありません。
春休み・夏休み・冬休みの 年に3回程度だけ一般公開されています。
*****************************************************************
ただ・・。
建築の知識も無く、モダニズムの意味すら分からない私が行ったところで
果たして良さが判るのだろうか?

という大いなる不安を抱きつつ、
去る3月27日に 初めて見学してきました。
入り口の受付で頂いた 日土小学校に関するパンフレットを持ち、
何でもいいから「とっかかり」は無いかと
必死に読み進めながら校舎に入ったのですが・・
結論から言うと、心配無用、理屈抜きで楽しめました。
何しろ ここは本当に居心地がいいんです。
とりあえず、見たままにご紹介しますネ。
【1階の昇降口と廊下】


子供の寸法に合わせたのでしょう、可愛いいくらいに天井が低いです。
復元された光天井のほかにも、左右両方向から たくさん光が入って とにかく明るい!
【中庭】

実は、廊下のある棟と教室のある棟が中庭をはさんで並んでいて、
1階2階の渡り廊下でつながっています。
そのため、どちらの棟も両方向から採光が取れるので、
とても明るいんですね。

この中庭には、校舎脇にあった池から水路が引かれていて、
かつては魚が泳いでいたよ、と卒業生の方が教えてくれました。
【2階廊下】

明るい廊下には、座って本を読んだり 友達どうしでおしゃべりするのに
ちょうど良い高さのベンチが ずっと続いています。

壁には本棚が備え付けてあります。
いつでも本を手に取れる環境っていいですね。

ベンチの足元にある窓を覗くと、下の階の教室が見えます。
ここを通して光と風が入るんですね。

外観もそうですが、屋内もすべて縦の線、特に長四角のデザインで統一されているようで、
とてもすっきりとした印象があります。

この飾り棚の足のように、下が細くなるようなデザインも多用されていました。
【階段】

幅が広く、驚くほど緩い段差です。見通しがよいので、
出会い頭にごっつんこ!という心配は無いでしょう。
【教室】
![IMG_8940[1]](http://blog-imgs-15.fc2.com/e/h/i/ehimekennanyo/2011061300260112e.jpg)
外の明るさに負けて 暗い写真になってしまいましたが、
両方向の天井際から窓がとってあるので、照明がいらないほど明るい教室です。

内側にある、太く見える柱が建物の荷重を支える構造柱で、
その外側に窓を作ってあります。
そのため、ガラス窓の面には太い柱が要らないので
このように一面がガラス窓に出来るんでしょうね。
天井から床までがすべて出窓、といった感じです。

少しでも採光の妨げにならないよう、
内側の太い柱と、窓枠の細い柱は
教室内部から見ると 必ず重なるように配置されています。
【図書室から2階ベランダへ】

この校舎の最大の見どころは、何と言っても ここでしょうね。
使い勝手の良さそうな六角形の机も、おしゃれなデザインの椅子も、
長い木製ベンチも、子供が本を手にとったらすぐに掛けたくなるだろうと
思うような、柔らかな雰囲気があります。
天井には光の反射を考慮してでしょう、銀紙が貼られています。
そしてこの図書室は、本を持ったままベランダに出ることができるのですが・・

どうですか? この開放感

こんな場所で風や光を感じながら読書ができるなんて、幸せですよね


実はこのベランダ、何と河川に突き出てるんですよ!
建築工事の最中に 河川法違反との理由で差し止めの指示を受けた松村氏は、
こうした場で四季折々の風情を感じて成長することの大切さや、
大人になった時に振り返って誇らしく思えるような故郷の原風景の尊さなど、
教育の場に このような環境が重要であることを強く訴え、
見事押しこんで見せたそうです。

1階のテラスだってこのとおり!明らかに川の上ですね。
昔はここから子供たちが飛び込んで泳いでいたそうですから、
うらやましい限りです。

他にも、こんな宙に張り出した部屋があったり
ウッドデッキがあったり。
とにかく、全体に一環している明るさ(採光の良さ)であったり
風通しの良さであったり、空間の開放感といったものが
自然と一体となったものであることを感じます。
そしてすべてのデザインや設計が 子どものことを考え抜いて
作られているからこその居心地の良さがあります。
しかも、これが50年も前に作られたものなんですから・・
ほんとうに 驚くばかりです。
この空間の気持ち良さは、お越しいただければ絶対に感じていただけるはずです。
ぜひ一度、一般公開の機会にお越しください。
【八幡浜市立 日土小学校】
所在地 愛媛県八幡浜市日土町2-851
見学会 主催;八幡浜市教育委員会
学校教育課施設係
(0894)22-3111(内線8363)
どんぐりでした。
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テーマ : 香川・愛媛・高知・徳島 - ジャンル : 地域情報
コメント
No title
やっぱうまい♪
最近ずっとどんぐりさんが記事書いてますね~
あっ!この美しい写真はGONさんかなって思ってたら全てどんぐりさん~(失礼なこと言ってすいません。。)
すでにどんぐりさんの写真の腕は一流です~(^。^*)
あっ!この美しい写真はGONさんかなって思ってたら全てどんぐりさん~(失礼なこと言ってすいません。。)
すでにどんぐりさんの写真の腕は一流です~(^。^*)
松野の山さんへ
あまりの居心地の良さに、
校舎を一通り見た後も、その場を去りがたくて
何度も同じ場所をぐるぐる見て回ってました。
設計の良さが そうさせるんでしょうね。
校舎を一通り見た後も、その場を去りがたくて
何度も同じ場所をぐるぐる見て回ってました。
設計の良さが そうさせるんでしょうね。
maさんへ
いえいえ、私もGONさんの写真はホントにきれいだと思いますから、
見間違えていただけたら嬉しいです
さて、この4月の異動で投稿者の状況も大きく変わりまして・・
取材に全く行けないとか、他機関への出向によって投稿が困難な状況にあるとか、
みんな大変なようです
更新が減ったのにいつも寄っていただき
ありがとうございます
また頻繁に更新できるよう、頑張ろうと思います。
見間違えていただけたら嬉しいです

さて、この4月の異動で投稿者の状況も大きく変わりまして・・
取材に全く行けないとか、他機関への出向によって投稿が困難な状況にあるとか、
みんな大変なようです

更新が減ったのにいつも寄っていただき
ありがとうございます

また頻繁に更新できるよう、頑張ろうと思います。
コメントの投稿
木造でありながら洋風の趣もありますね
50年も前にこのような素晴らしい物が
立てられていたとは本当に驚きです。
規則にとらわれず、主張を貫き通した先見の
眼にも感心するばかりです。